2026年4月30日、MicrosoftおよびAsobo Studioは『Microsoft Flight Simulator 2024』の最新アップデート「Sim Update 5(バージョン 1.7.27.0)」を配信開始しました。
本アップデートは約2ヶ月間にわたるベータテストを経てリリースされており、非常に高い完成度を誇っています。
PlayStation VR2(PSVR2)への公式対応という記念すべき節目であると同時に、描画エンジンの最適化やキャリアモードの抜本的な改善、さらには多くのアビオニクス機器のアップデートを含む大規模な内容です。
今回の更新がユーザー体験をどのように向上させるのか、重要なポイントを整理して解説します。
待望のPSVR2対応とVR機能の強化
今回のアップデート最大のトピックは、PlayStation 5およびPlayStation 5 Proにおける「PSVR2」の正式サポート開始です。これにより、コンソール環境でも圧倒的な没入感でのフライトが可能になります。
また、PC版を含めたVR全般の品質と安定性も強化されています。特に「Ghost material(ゴーストマテリアル)」と呼ばれる特殊な質感を適用したオブジェクトのレンダリング不具合が修正され、VRコントローラーのモデルが正しく表示されるようになった点は、VRユーザーにとって重要な改善です。
- VRメモリの最適化: VRモードへの切り替え時や実行時のメモリ使用量を改善し、動作の安定性を高めました。
- ツールチップの改善: コックピット内のツールチップがVR環境でも見やすくなり、コントローラーでの操作性が向上しました。
- EFBの表示修正: VR内でのEFB(電子フライトバッグ)の表示比率を修正しました。
- 個別設定の保存: VRと非VRでEFBのサイズや向きの状態を個別に保存できるようになりました。
キャリアモードの拡張:認定証の整理と判定ロジックの改善
キャリアモードでは、ユーザーの混乱を避けるための名称整理と、シミュレーションの厳格さを高めるロジックの改善が行われました。
- 認定証(Certification)の更新: 従来の「Super Heavy」スペシャライゼーションおよび「Heavy」認定証という分かりにくかった名称が、「Oversized」へと統合・改称されました。また、新たに「VTOL(垂直離着陸機)」の認定証が利用可能になっています。
- ホールドショート判定の刷新: ミッションの成否に関わる「ホールドショート(停止線)」の判定ロジックが、従来の「矩形エリア判定」から「ライン(線)判定」へと変更されました。これにより、停止線付近でタクシングしている際に、線を超えていないのに誤ってペナルティを受ける「誤判定」が防止されます。
- プリフライト手順の追加: 飛行前の手順に「フロントガラスカバー(Windshield cover)の取り外し」ステップが追加され、リアリティが向上しました。
アビオニクス(航空電子機器)のプラットフォーム全体の進化
今回のアップデートでは、多くのアビオニクス機器において「VNAV(垂直ナビゲーション)パスの生成・平滑化ロジックの改善」が共通して行われました。これにより、より正確でスムーズな降下プロファイルが描けるようになっています。
主なアビオニクスの更新内容は以下の通りです。
| 機器名 | 主な更新内容 |
| Garmin G3000 / G5000 | プラットフォーム共通のVNAVパス改善。地図上へのヘリポートアイコン表示。FMS速度ターゲット適用バグの修正。 |
| Garmin G3X Touch | WX ALTIM(最寄りMETARからの高度計設定)の表示フィールドを追加。日の出・日の入り時刻の表示。ヘリポート設定の追加。 |
| Pro Line 21 | プラットフォーム共通のVNAVパス改善。メモリ節約のためPFDの人工水平儀を最適化。FMCのフリーズ問題を修正。 |
| UNS-1Ew | プラットフォーム共通のVNAVパス改善。APモードが正しく反映されない不具合の修正。 |
| Garmin G1000 NXi | ヘリポートを正しいアイコンで地図上に表示するよう修正。 |
パフォーマンスと安定性の高度な最適化
システム面では、専門的な描画処理の改善によって動作が大幅にスムーズになっています。
- 描画とメモリ(Cullingの最適化): レンダラーにおける「カリング(不要な描画の除外)の最適化」が行われ、描画負荷が軽減されました。また、建物生成やパーティクルエフェクト、NPC機体のメモリ使用量も削減されています。
- 電気系統コードの最適化: 747やA400Mのような「大規模な電気系統」を持つ機体のコードが最適化され、複雑な機体でのパフォーマンスが向上しました。
- 安定性の向上: エンジン未搭載機でオートパイロットを実行した際のクラッシュや、NVIDIAカードでFSRフレーム生成を使用する際のカクつきが修正されました。
QOL(利便性)の向上と周辺機器の対応
ユーザーからのフィードバックに基づき、日常的な操作を快適にする多くの機能が追加されています。
- 地上サービスの管理: 設定の「アシスタンス」項目から、空港内を動く地上サービスの動作を無効化できるようになりました。
- 操作プロンプトの拡張: 「Enter/Exit aircraft(機体への乗り降り)」のプロンプトが、「World Photographer」以外のゲームモードでも表示されるようになり、フリーフライトでの移動がよりスムーズになりました(設定で非表示も可能です)。
- 周辺機器の更新: 視線追跡デバイスの「Tobii SDK 9.0.4.26」へとアップデートが行われ、コミュニティのフィードバックに基づいたデフォルトパラメータの調整が施されています。
- UI/表示: ミニマップ下への「シミュレーションレート」表示、機体選択画面での性能比較機能、マーケットプレイスで購入した機体への「NEW」タグ追加などが行われました。
今後のスケジュールとまとめ
次回の大型アップデートとして、2026年5月5日に「Aircraft and Avionics Update 4(AAU4)」の配信が予定されています。このアップデートでは、以下の機体がMSFS 2024へネイティブ対応する予定です。
- ATR 42-600 / 72-600
- Antonov An-2
- Fokker F.VII
- Latécoère 631
- Savoia-Marchetti S.55 / S.55X
コメントを残す